ヤングカンヌレポート集
ACCtion! vol.118特集2007 カンヌ国際広告祭
Young Creatives Film Competition 2007

 

 
青柳氏 砥川氏

青柳有美子
(株式会社アサツー ディ・ケイ クリエイティブユニット:3 
第5クリエイティブ局 アートディレクター)

砥川直大
(株式会社アサツー ディ・ケイ クリエイティブユニット:2
第4クリエイティブ局 CMプランナー)

「カンヌどうだった?」と聞かれると、とりあえず「超たのしかったですよ」と答えている。すれ違いざまやエレベータの中で話せる内容でもないので、ある種正しい返答であると思っている。ただ、そんなことばかりしていると、自分たちでもいったい何が楽しかったのか、いつか忘れてしまうような気がする。だから、この場を借りて記録しておきたいと思う。

会場の前で気合いを入れる。 会場の前で気合いを入れる。

コンペ会場内。35カ国の国旗で仕切られるMacブース。コンペ会場内。35カ国の国旗で仕切られるMacブース。

座りにくいイスで作業中。座りにくいイスで作業中。

結果発表は、ゆる〜くにぎやかに行われました。結果発表は、ゆる〜くにぎやかに行われました。

課題:
スポーツを通して途上国の子供たちの生活向上を目指す人道団体「RIGHT TO PLAY」の認知と理解促進
gold_CHILE
gold_CHILE

silver_PHILIPPINES
silver_PHILIPPINES

silver_AUSTRALIA
silver_AUSTRALIA

bronze_BRAZIL
bronze_BRAZIL

JAPAN
JAPAN

カンヌに行ってわかったこと、思ったこと。
そして、得たもの。(時系列)


  1. 意気込んで「一番」「必勝」はちまきをし、「日本代表」たすきをしてコンペに挑むも、そんなしょうもないことをしている国は日本以外なし。みんなの真面目さにややがっかり。

  2. 35カ国が参加。明らかに28歳以下には見えないおっさん多数 。

  3. オーストラリアチーム、水着で登場。髪の毛もこころなしかシットリ。

  4. 位置的に不利なブースをあてがわれた韓国チームがそのことを抗議すると、翌日そこはタイのブースに。結局アジア枠…。

  5. アジアからのチームの大半には、女性が。パートナーには女子を!

  6. オリエン前の「まずはこの場にいることにおめでとう!」という主催者の言葉に気分が高揚。
    サッカー日本代表が海外で勝てない理由が少しわかった気がした。

  7. 会場近くのマクドナルドで企画。結局海外でも落ち着くのは、マック。こんなリゾート地でいつものようにアイデア出しをしているという状況が、なんか不思議。楽しすぎて、難しい課題を考えつつも顔がニヤケる。

  8. 日本代表はカンヌに行くと小さくなる、という風評に感化され、もう一つ同時に作っていたド真ん中の案とさんざん迷ったあげく、下ネタ案に決定。
    リスクヘッジとして、「日本代表、キンタマで、金逃す!」というコピーを考案。

  9. 日本作品、各国から笑いを誘う。やはり下ネタは世界共通言語であることを再認識。

  10. 意味がわからない作品が目立つ。相対的に日本予選の方がレベルが高いと感じる。

  11. 審査はたった15分。日本予選のそれに比べはるかに短く、そのことが結果に大きく影響していることがわかる。

  12. 優勝、チリ。やや腑に落ちない…。
    ただ、発表された瞬間のみんなからの拍手の暖かさには圧巻。
    このとき初めて世界戦だったことを肌で感じ、ことの大きさを改めて実感。

  13. 2位、フィリピン。あまり喜びを露にせず。
    その光景に、同じアジア人として少し寂しさを感じる。

  14. 同じく2位、オーストラリア。不在。
    吉報を聞いて駆けつけてきた彼らは、やはり水着。
    この生き様を真似ようと心に決める。

  15. 3位、ブラジル。事実を基にした作品が評価された。
    やはりサッカーネタは強い。

  16. 意気消沈するも、フルスイングで戦った自分たちの潔さを評価する。したい。
    でも、やはり意気消沈。

  17. 3日後、チリチームが表彰式で壇上に。
    思い出したかのように、くやしさが倍増。「来年もまた来る」と決める。
    が、きっと去年の日本代表も、そしてその前の日本代表もカンヌで同じことを思ったのだと思うと、今年、世界と戦ったことの偉大さを痛感。

  18. 次の国内予選が待ち遠しく感じる。
    また、その前のヤングロータスの予選がグラフィックになるのか、フィルムになるのか、今考えてもどうしようもないことを考え始める。

  19. 帰国後、とりあえず「来年もう1回行けば、上位に入れますよ。」と、負け惜しみなのか、本意なのかサラッと言ってみる。

  20. ACCの会報用にカンヌの報告文を書く。そして気付く。
    上述したこのすべてのことが、日本予選でたった24時間しか費やさずに、たった2人で生み出した、たったひとつのアイデアから生まれたことに。


アイデアひとつでこんなにも世界が広がることのすごさを実感した。

アイデアが生むエネルギー。アイデアが生むパワー。

広告を作っていれば当たり前のことなのかもしれないが、

カンヌに行って、そのことが手に取るようにわかった。

20代の私たちが感じたこの気持ちを、他の若い連中が全員感じられたとしたら、

どれだけみんなイキイキと仕事ができるだろうか。

みんなに体験してほしい。本当にそう思う。

ただ、来年までは青柳・砥川チームは健在なので、

それ以降のことになるかと思いますが。