日本代表
杉山元規 長部洋平 |
カンヌ2008・ヤングライオン・コンペティションフィルム部門に出場してきました。このコンペは、オリエンを受けてから48時間で、企画、撮影、編集までを行い、完パケのフィルムを提出するというもの。各国の予選を勝ち抜いてきた28歳以下の代表(2人1組)が、世界一を目指して競います。今年は、去年から新たに7カ国が笛、27カ国が出場しました。
クライアント | MTV+SWITCH |
目的 | 世の中の風潮を変える。 |
ターゲット | 12〜25歳の若者 |
メッセージ | 環境問題に取り込むことを、もっと楽しんでやろうよ。 |
提出物 | バイラルムービー 30〜60秒 |
電気を消して卓球を始める男。
S:「電気を消して。自由に楽しめ。」部屋が真っ暗になると、ピンポンの音に加えて、ガラスが割れる音、馬が走りまわる音、車が突っ込む音など、様々なSEが聞こえてくる。暗闇の向こう側で、何かが起きているようだ。ろうそくの火が点り、卓球をしていた男の姿が見える。全身がケーキや口紅まみれに。明るい所で行うと何でもないことが、電気を消して暗闇の中で遊ぶと、まったく新しくて、エキサイティングなことに変わるかも・・・を表現。
トップレスのばぁさんはフランスではベーシックで、堂々と旨をぶらさげて歩いていた。パーティーで知り合ったイギリス人のキャサリンは、「ニック」と「肉」の違いだけで大笑いをしていた。こんなに文化のギャップがある中、コンペを受け、見事落選!僕はまだまだ人を知らない。相手にとっての常識とは何か。何をおもしろがり、何をすると喜んでくれるのか。
広告を作る人間として、今後僕はばぁさんもキャサリンも含め、様々な人の気持ちを動かさなければならない。そのため、とにかく人と出会おう。たくさんの人の気持ちを知り、たくさんの人の心を動かす広告を作ろう。
カンヌの海でそう感じ、まずはトップレスのおねえさんに声をかけた(長部)
カンヌで這いずりまわった、48時間。僕たちは負けた。だからこそ、多くの財産を得ることができた。一生懸命になると、自分の非力がよくわかる。僕には、まだ足りないものが多過ぎる。
今の日本の広告は、幸せな顔をしているだろうか。ただ、ネオンサインのようにチカチカと光り、目や脳に刹那的刺激を与えては消えていく。人の心に届かない広告の影には、悲しい都合に追われる広告制作者たちの、妥協と諦めが漂っているように感じる。
「キレイごと言うな。」「お前ごときに何ができるんだ!?」そんな声を撥ね返していくには、自分自身が“本物”になるしかない。広告制作者として、ひとりの人間として。(杉山)