開演挨拶
鏡 明
ACC国際委員長/ドリル
昨年までこの報告会は10月ぐらいでしたが、どこよりも早くみなさんに情報をご提供したいということで3カ月早い7月末に行うことになりました。カンヌはナレッジシェアとしての側面が大きくなりましたが、フィルム部門からもともとは始まりました。カンヌを象徴するのはある意味フィルム部門だろうと私たちは思っています。
カンヌライオンズ概要報告
カンヌライオンズ日本代表
石田 眞氏(東映エージエンシー)
カンヌに携わって20年ですが、どんどん大きくなっています。1954年に始まってから、部門数が増えたり、「advertising」がタイトルから外されたりとさまざまな変遷を経てきました。全体を把握するビジネスエキシビジョンとして運営していこうというのが、主催者の意向になっています。また最も変わったのは、媒体別から手法や見せ方に変わっていった点です。
カンヌにおける日本の存在も大きくなっています。エントリーも相当増えています。ただ、パフォーマンスで言うと今年は寂しい結果となりました。
カンヌフェスティバルは、セミナー、コミュニケーションツールを体験し、情報交換を行うチャンスです。参加費、宿泊費、飛行機代など諸々で100万円くらいはかかる出張となるでしょうが、絶対に価値がありますので来年は騙されたと思って参加してください。
28歳以下のヤングカンヌは、今年は日本代表は入賞できませんでしたが、非常に勉強になるとおっしゃっていただけましたので、ぜひチャレンジしてほしいと思います。
カンヌライオンズ フィルム部門報告
フィルム部門審査員
長谷部 守彦氏(博報堂)
日本はかつて3回フィルム部門のグランプリを獲っていますが、苦戦をしている。それには背景のズレがあると思うので、その知識を少しでもシェアできればと思います。
今年はフィルムの授賞式が大トリを飾り、フィルムの審査が皆さんにある程度納得していただける結果を出せたのではないかと思っています。また、フィルムに対する期待値が戻ってきているのではという実感を持ちました。
審査員長のTorは、「フィルムは最も歴史がありながら、同時に最も新しいカテゴリーでもある。テレビ広告の主役でもあり、オンライン上でも、最もシェアされるコンテンツはフィルムである。そういう目線でとらえて行こうじゃないか」と話していました。
フィルムの審査は、AカテゴリーがテレビCMとシネアド(180秒以下)。
Bカテゴリーがオンラインフィルムです。これは例えば、YouTubeを見ようとすると、その前に強制的に5秒だけ見せられるプレロール・アド。それから企業サイト上のムービーなども含まれます。
Cはバイラルフィルムです。シェアされることが目的なのでアイデア勝負。あとはクリック数も判断材料になります。
Dはブランデッドコンテンツとエンターテインメントフィルムとか、長物です。ドキュメンタリーからミュージックビデオまで、百花繚乱。
Eはスクリーンズ&イベンツと言って、それ以外のもの。例えばカンヌの授賞式で流れるビデオだとか、大学の講義で使ったビデオとか、何でもありなのでもう広告枠ではありませんでした。こういう玉石混交を評価します。
ただ最終的には「TVからひとつ、ノンTVからひとつグランプリを選ぼう」と決めていました。3070のエントリーがあり、ショートリストに入るだけでもすごいというレベルの戦いがありました。世界中のあらゆるフィルムの中で100本しか選ばれないので、「"なんだ"ブロンズか」ではない。すごいことだと思います。