面白系。
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SAVANT「MOVING」
SVENSON「ENVY」
SPACIFIC BRANDS UNERWEAR GROUP AUSTRALIA「THE BOYS ‘IMPACT」 -
これら3本は、何度見ても面白い、という難しいハードルをくぐりぬけて、愛され続けていました。
わたしは中でもMOVINGがすごく好きです。ひどいなあと思いながら笑ってしまう。 - INDEPENDENT INCUBATOR「FIREFLY MAN」
- 審査会場で流されるたびに、「蛍の寿命は一週間なんだ」というところでみんな必ず爆笑するんですよね。オチわかってるのに笑わせる力ってすごいなと。ただ裏話をすると、審査委員長はこれがあまり好きではなくて、意味がわからないと。一方で熱烈に好きな人もいて、「こういう多様性はフイルムに必要だと思う」と弁護してくれる人も出てきたり。わたしも「これは一生を家族に捧げる、日本の父親の悲哀を描いている」と文化的背景を語ってみたりしました。
ブロンズで光るもの。
- NATIONAL FOOTBALL LEAGUE「SUPER BOWL BABIES CHOIR」
- 審査員の一人がこれを作っていたので、どうやって作ったのと聞いたら「スーパーボールの9か月後に生まれた子のデータを集めて地道に聞いて回って出演交渉した」と言っていました。
- SAGAMI RUBBER INDUSTRIES CO.「ACT OF LOVE」
- コンドームのCMって今までコミカルなものが多かったと思うんですけど、こういう美しいアートの表現というのがなかったね、こういうアプローチはとても新しいねということで評価されていました。
- STATES UNITED TO PREVENT GUN VIOLENCE「GUN CRAZY」
- RE-BORN TO BE ALIVE「WATING LINES」
- UNICEF「UNFAIRY TALES SERIES」
- DELEGATION A LA SECURITE ET A LA CIRCULATION ROUTIERES「SHOCKINGWAVE」
ちょっとしたことでもとれるんだよという例で
- SMART「SHOCK」
- すごいシンプルなんですけど、アイデアがよければこんなささやかなことでもワールドワイドに伝わるということで、ブロンズでした。
総評
総じて、チャレンジングな企画を実現するには、クライアントとの信頼関係と、クリエイティブとしての責任感が不可欠です。そして戦略部分が握れていないものでジャンプしても、いいものはできないと感じました。ビッグデータでも、クライアントとエージェンシーのチームとしての関係が長いほど、カンヌ受賞数が多いという数字が今年のカンヌのセミナーで発表されていたそうです。HARVEY NICHOLS、GEICO、JOHN LEWISなど、同じクライアントの作品でこれだけチャレンジングなものをコンスタントに作れるということは、戦略部分の合意がしっかりできてるんだと思います。
必要なのは、クライアントを冷静に温かく見る視点。人間を冷静に温かく見る視点。自分のアイデアを冷静に温かく見る視点。客観性と温かなまなざしの両方が必要なんだろうなと、審査をしていて思いました。
そして、最初の数秒で最後まで見たいと思わせる力。人間の本音とブランドを結びつける物語の姿。テレビCMが本来培ってきた技術が、今こそ求められています。たった15秒、60秒で、1本の映画を見た以上の感動を人に与えることができるテレビCMの力は改めてすごいなと。これだけ情報が氾濫している中で、最後まで見たい、何度でも見たいと思わせる力が重要になっていると感じました。
実際の「カンヌライオンズ2016」の様子
この後、細川氏と鏡委員長によるトークセッションが行われ、今年の作品・審査の傾向など具体的な話が展開されました。このレポートはあくまでも概要です!さらに詳しい解説が作品上映とともに臨場感を持って味わえる報告会。来年もお楽しみに!