ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSについてのお問い合わせ
【CM情報センター】CMの二次利用についてのお問い合わせ

現在、電話・FAXでの受付を停止しております。
詳細は、「CM情報センター」ホームページをご確認ください。

ACCの活動

TOP > ACCの活動 > イベント > 「2018カンヌライオンズ報告会 ~フイルム部門をどこよりも早く、深く~」 開催レポート

シルバー

ELE THAILAND.,LTD「FOREVER」
これが、タイのシルバーの作品。僕の心のグランプリです。どこまで続くのかというほどしつこい(笑)。7分くらいとすごく長くて、でもそれを感じさせないというか感じさせるというか。それを含めて構成の妙がある。実際の空間で起こっていないことが平気で映像的に繋がっていて、映像的に非常に巧みな人がつくっていると改めて思います。
UHA味覚糖「さけるグミシリーズ」
元気なタイに並ぶ形で日本でも評価されたのがこちらです。審査委員長のワイルドカードで上がったもので、なぜこれがグローバリーに評価されたのかというと、ひとつはこの「ロングロングマ~ン」というサウンドロゴ。みんな大好きで、議論が長引いたり誰かのコメントが長くなったりすると、これを歌い出すという(笑)。また、実は「ロングマンVSショートマン」てというのは私たちが思っている以上に直接的な下ネタなんですって。ロングロングマンというものへのおかしみが僕たちが思う以上にあるらしくて、いろんな人に「クライアントはなんてブレイブなんだ」と言われました。何言ってんだろうと思ったら、「食品でこの下ネタはすごい」と。それを女性が主体的にロングを選んでいるというフェミニズムの観点と、なおかつ男性が最終的に男性を選ぶというこれはもうダイバーシティ。本当に優れたモダンな表現だねと、世界的にすごく評価されているということでした。ゴールドまで行けなかったのは、表現が直接的でタイの複雑な構成とか演出の巧みさと比べると、「おもしろい」で終わっているねと。高いレベルでの評価ですがそういう話があり、これはシルバーとなりました。
以下シルバー、ブロンズ、ショートリストから18作品上映、講評(ここでは省略します)

まとめ

ゴールド以上は、メジャークライアントが多かったと思います。“世の中で流行った”ことが評価され、ビッグブランドじゃないと評価されにくくなっている。アワードの性格が、リワードというか世の中で流行ったものをちゃんと評価しようと変わっているように感じました。
なかでも審査員長が何度も言ったのが「WATCHABILITY」。ネットのシェア社会において、ネットフリックスなどのおもしろくてお金をかけた映像に勝たなくてはならないとなった時に、CMの誠意ある態度としては「CMだけど人に勧めたい」「何度も見たい」ような鑑賞性の高いものであろうということ。アイデアにしても、映像美としても、人に見せる価値のあるものをつくろうよとメッセージを出しました。

これまで様々なアイデアやギミックが流行りましたが、今年カンヌ全体を見ていて思うのは、やはりクラフト、クオリティ。シンプルだけど強い表現、というところに回帰している感じがしました。クラフトとは、お金をかけたものではない。それは「MOTORCYCLE」が評価されていることでわかります。また定型的な「POWERADE」がさほど上に行かなかったのは、どこかで見たようなCMにはもう飽きていて、違うテイストでフレッシュなものを求めている。
まとめると、「REAL WORK(賞用ではなく広告としてワークしている)」「CRAFT(高いクオリティである)」「FRESH&BRAVE(新しい表現や切り口)」。並べてみると、どれも日本人がわりと得意なことだと思います。単純に違うのはマーケットや文化というところだけで、日本人が得意なゾーンに時代が回帰しているような気がします。
今回審査員をしてみて、改めて日本の映像づくりにチャンスが来ている。もう一歩頑張るだけで世界で評価されるものがつくれる。そういう時代が来ているのではないかと前向きな気持ちになりました。