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ロコ情報スペシャル!
茨城篇

 ムキムキの肢体から滴り落ちるしずく、温泉の向こうに広がる大海原――。なんだこの映像は!とたどってみると、それは茨城県が運営する動画サイト「いばキラTV」で公開されている「茨城温泉FILE」という温泉紹介動画でした。行政が、これを……? もちろん大いにバズり、テレビでも多数紹介された。茨城県はほかにも、吉本興業の芸人さんを大勢起用したり、ねば~る君とタッグを組んだりと大変元気な様子です。

「茨城温泉FILE」

 この動画は、「あまり知られていないけど茨城にもいい温泉があるんだよ」ということをお知らせしたくて作成しました。昔ながらの表現だとタオルを巻いた女性が温泉に入りますが、時代的に女性が肌を見せるのは避けた方がいい。ふと職員のひとりが、「筋肉ってかっこいいですよね」と言ったのがきっかけで、おもしろいからやろうとなったんです。筋肉は美しいものだし、みんな好きだろうというくらいだったので、これほど評価されたことに驚きました。
 公開から1週間ほどして再生数が急加速して、あわてて朝6時にスタッフ同士のグループチャットで対応を決めて。メディアからの取材用に簡易Q&Aつくって。
でも結局、温泉の集客にはあまり貢献していなくて、みなさん動画を見て楽しんで終わっちゃったのかなと……。それでも、28万PVということは温泉の存在が広く知られたわけですから、貢献はしたと思います。4Kで撮ったからこその映像クオリティなんですよね。それからもう、防犯カメラ映像みたいな思いっきりチープなつくりにするか、どっちかですよね。背徳感が出すぎてダメか(笑)。
 万人受けする表現ではなかったのですが、県の委員会でも好評で「続きはつくるのか」と議員に聞かれました。焼き直しをしても仕方がないし、改めてつくると今度は炎上方向へ行く恐れもあるので、3作で完結です。次をどうするかで悩んでいますが。

なぜテレビ局ではなく、動画サイトなのか

 茨城県は、日本で唯一民間放送の県域テレビ局が存在しません。一度つくる方向で動き出し、総務省から電波の割り当てをもらうところまで行ったこともありました。最終的にスポンサーが手を上げなかったので頓挫して。だいたい、テレビ局をつくれば百億円の大台に乗るようなコストがかかります。挙句の果てに、キー局がいくつもある中で見てもらえるかどうか。そこから、インターネット動画サイトの「いばキラTV」が生まれました。

観光スポットやグルメ、スポーツ、ニュースなどを配信しており、年に215本(ニュースを含むと約500本)を更新しています。1本つくるのに平均20~30万円の予算しか使えない中、再生数を上げているんですよ。
 そのためには誰かに見つけてもらうのを待つのではなく、検索エンジンやYouTubeの関連動画をいかに味方につけるか、とさまざまな施策を行っています。キーワード対策をしたり、ツイッターでの告知や過去動画の掘り起こしをしたり。おかげで、2年連続で「再生回数」「動画本数」「チャンネル登録者数」は47都道府県中1位。順位なんてまったく意識していませんでいたが、神奈川県が視察に来てくれた折に教えてくれました。東京都には請われて「動画広報研修」に伺ったんですよ。お金のあるところに技術を伝えるのはちょっと怖いですけど、これで行政動画業界が盛り上がってくれれば(笑)。
 行政として大変なのは、一緒に動画をつくっていく広告会社を毎年コンペで変えなくてはいけないことですね。そのたびに信頼関係を一から築き直さなくてはいけない。だいたい体制が整うのに3カ月はかかるので、その間は制作ができません。職員で穴を埋めたり、来年度を見越して今年から用意したりと苦労があります。